〇将棋道(1999年06月10日)
「将棋は日本文化で、囲碁は東アジアの文明ではないか」。国際日本文化研究センター(京都)で共同研究「将棋の戦略と日本文化」を主宰してきた桃山学院大学教授、尾本恵市さん(人類学)はこんな持論をよく語る。
東アジアで広く行われる囲碁の発想は「中国文明」に基づくものだが、将棋は日本という地域で磨きあげられたゲームだ。相手の駒(こま)を取り、その能力を自分の戦力として使えるのは日本独自のルールで、日本文化が濃厚に反映されている、ともいえる。
その伝統文化を国内外に再認識してもらおうと、世界初の試みとして「国際将棋フォーラム」(日本将棋連盟主催)が今月19日から2日間、東京国際フォーラムで開かれる。「礼」としての「将棋道」をアピールし、世界6地域27カ国からアマ選手32人による国際将棋トーナメント戦もある。
囲碁界では韓国、中国勢の活躍が目覚ましく、国際交流が進むほど日本人にとって囲碁のタイトルは遠のいていくのだろうか。一方、将棋界ではその座を脅かされることはなさそうだ。
「将棋はバーチャル(仮想)な武術で、日本文化を学ぶことにつながる。小学校でもっと将棋で楽しんでほしい」。フォーラムでそんな熱弁をふるうつもりの尾本さんを、共同研究員の一人として応援したい。
0 件のコメント:
コメントを投稿