2006年7月28日金曜日

〇蟻の兵隊(2006年07月28日)

 〇蟻の兵隊(2006年07月28日) 

  

 「このままでは死んでも死にきれない。切実な訴えがいつまでも心から消えません」

 22日から東京のミニシアターで一般上映が始まった長編ドキュメンタリー映画「蟻(あり)の兵隊」(池谷薫監督)を見た友人から熱っぽいメールが届いた。第二次大戦後も中国に残留し、中国の内戦を戦った奥村和一さんが国の戦争責任を追及する姿を描いた作品だ。

 私も試写で見たが、終戦後も陸軍の一部が「上官の命令」で戦い続けた事実に驚かされた。映画では奥村さんが靖国神社で、フィリピンから戦後29年たって帰国した小野田寛郎さんと激しく向き合うシーンが特に印象に残る。

 先週の土、日とも1日5回上映で、いずれも超満員。高齢者はもちろん、若い人がけっこう多かったそうだ。急きょ29日からは別の一館で1日2回上映となった。

 大阪の第七芸術劇場でも上映初日の8月5日、池谷監督と奥村さんの舞台あいさつを「ティーチイン」に切り替える。「こんな作品がヒットするなんて」と宣伝担当の松井寛子さんの弾む声を聞いて、うれしくなった。【池田知隆】