〇国王輪番制(2006年09月28日)
「ここの国王は輪番制です」
マレーシアが英国の植民地統治から独立して49年。8月31日の独立記念式典に招かれ、そんな説明にびっくりした。13州のうち9州に州王がいて、5年ごと順番に国王の地位についている。知らなかったといえばそれまでだが、現地で聞くと、新鮮な驚きになる。
国土は日本の9割弱。人口約2600万人のうち約66%をマレー系、26%を中国系、7%をインド系が占める多民族国家だ。地域や民族の多様性を維持しながら紛争を避ける知恵があった。
独立式典は国内各地で行われ、今回、国王が参列したのはサラワク州(ボルネオ島)のクチンの会場だ。午前8時から多彩な民族衣装を着た子供たちの踊りなどを交えたパレードが延々2時間も続いた。同じ立憲君主国とはいえ、今の日本では見られない牧歌的な式典に不思議な感動を覚えた。
隣国タイでは国王が軍部クーデターの行方を決め、その権威の重さを見せつけた。さて、日本の皇室論議はアジアからどう見られているのだろうか。今秋、そんな思いにとらわれている。