〇人間らしさ(1997年10月08日)
「2020年にはコンピューターが将棋名人に勝ちます」。静岡大学講師(認知科学)、飯田弘之さんがこのほど国際日本文化研究センターで開かれた「将棋の戦略と日本文化」の共同研究会で、そんな研究報告を発表した。
プロ五段(休場中)の飯田さんは、棋士初の国立大学教員で、自らの勝負経験をもとに人工知能を研究中。今年5月、チェス名人がコンピューターに敗れて以来、研究者の関心はチェスよりもはるかに複雑な将棋に移り、やがてプログラム・ソフトが名人位を獲得するのは研究者の常識、だそうだ。
「プロ棋士は軒並み廃業かも」「新聞雑誌の将棋の問題はコンピューターで解け、成立しない。マスコミに与える影響はどうなのか」。出席者の間で議論が沸騰し、「コンピューターは日本文化を超えるのか」という声も。
飯田さんはいう。「いまやサッカーもホットな研究テーマです。あらゆる人間行動をプログラムに入れたら……」。コンピューターがサッカーの勝負にどう絡むのか興味深いところだが、さて人間らしいプレーとはいったい何なのか。ともあれ、コンピューターが将棋名人に勝つ日までは生きて、その瞬間を見たいものだ。
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