〇納豆戦略(1994年6月23日)
「おもしろいですから、ぜひ参加しませんか」。今月四日から秋田市で開かれた第三回アジア無塩発酵大豆会議(世界納豆会議)。元農水省熱帯農業研究センター主任研究官、加藤清昭さんから誘われた。四年前、納豆のルーツを追ってアジアを旅したぼくにとって、多くの知人たちとも再会できる。
「しょうゆ、豆腐、みその後を追って、納豆も世界に広がっている。地球環境と食の問題をみれば、納豆はますます再認識されていく」と加藤さん。科学万博が開かれた一九八五年に第一回会議の開催を呼びかけ、八七年からはFAO(国連食糧農業機関)のバイオテクノロジー担当官を務め、アフリカでの大豆生産と納豆に着目した。
西アフリカには、現地の食用豆を糸引き納豆菌で発酵させたダワダワという伝統食品がある。加藤さんは、日本の学生ボランティアを募ってアフリカ各地で納豆試食会を開き、「納豆は"飢餓のアフリカ"ひいては地球を救う一つの戦略になる」とも語っていた。
地球の恵みとしての大豆と、神秘的な発酵作用からもたらされる納豆。あいにく会議に行けなかったが、日常の暮らしと世界を結びつける粘っこい「納豆戦略」の夢を見届けたい。
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