〇Y君の就職(2005年12月26日)
「母が亡くなった」。先日、九州に住む大学時代の級友、Y君から久しぶりに連絡があった。友人の参列を遠慮したようで、告別式は既に終えていた。
裁判官の息子だった彼は、司法試験を目指し、浪人生活を続けているうちに、社会にでる機会を失った。裁判官を退職後、公証人になった父は亡くなり、最近は母の介護をしていた。
兄弟も年金もない彼の老後がクラス仲間でよく話題になった。「みんなで共同別荘を持ち、管理人に招こうか。それには山より海の近くがいい」と年末、その候補地探しを始める矢先だった。
だが、彼は「母の実家の焼酎会社社長をしているいとこが、うちで働かないかと言ってくれた」と喜んでいた。どうやらそのいとこが、お母さんを喜ばせようとしたようだ。それを聞き、お母さんは最後の胸のつかえをおろして亡くなった。いい話だった。
定年前に退職する級友もいる。それとバトンタッチするかのように50代後半で初めて就職するY君。「何はともあれ、乾杯!」と共に飲みたい気分だ。